身分や世代、人種さえも越え、自由な恋が叶う現代。
今でこそ、様々な人たちは出会い、恋に落ちる。
時は前世。
その初恋は、決して満たされる事なく、彼女の心の中にあり続けた。
帝国の王女、ジュリエット。
幼い頃、偶然の時間で出会った主人公を今も想っていた。
物語は、姫が「女王」に即位したことから始まる。
天恵の女王…大地に豊穣と恵みをあたえる存在。
彼女は願う。
国に住む民の幸せを。
彼女は気丈に振る舞う。
巨大な権力に心が負けないよう。
「厳しく、清く、正しく」あり続ける。
泣きたい気持ちを隠して。
…けれど。
ジュリエットのたった1つのわがまま。
今や、遙かな身分の差にありながら、あなたのことを忘れられない。
「せめて、そばにいて欲しい」
夜を見上げることでしか、会えない素顔の女王。
近づけば近づくほどに彼女の心は揺れ動く。
そして、ひとつの歯車が外れたとき。
ジュリエットと主人公は…許されざる肉欲にまみれていく。
折りしも。
近隣諸国の魔の手が迫りつつある晩夏の出来事だった。
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